世界を創りしもの：
真の適格者よ‥ キミの勝ちだ‥
この身が朽ち果て消えるまでの間に 少し昔話をしてあげよう‥
レガイア創生の神話を‥ それは遥か昔‥ あの女が偏在者であった頃‥まだ僕が人間だった頃‥
この星が「地球」と呼ばれていた頃‥
地球にはレガイアとは全く異なる 古代文明が栄えていた‥
超能力であるガイアではなく 「カガク」という力に支えられた文明‥
空には飛行機が飛び道には自動車が走り 回線は世界を巡っていた
人の文明は隆盛を極めていた‥
だがその世界は混沌に満ちていた‥
人は人を敵と見なし 血で血を洗う争いを繰り返していた‥
世界の犠牲者として 無数の人間達が死んでいった‥
僕はその世界の中にあった ある小さな国の中で生まれた‥
戦うことを放棄した豊かな国だった‥
けれどその豊かな国の中ですら 生きる意味を見失った者達で溢れ
膨大な数の人間達が 自ら命を絶っていった‥
小さな頃から僕は耐えられなかった
何故望まぬ悲しみと苦しみを味わい 死んでいかなければならない者がいる？
だから僕は作りたいと考えた 僕の生きる世界とは違う理想郷を‥
‥そしてそんな僕の前に あの女が現れた‥
新しい神となった僕は 古代文明の中にあった ある一冊の書に基づき理想の世界の創造を始めた‥
まずメギドの火で 不浄な古代文明を全て滅ぼし‥
人間の善なる心から天使を創り‥ 人間の悪なる心から魔獣を創り‥
人々に不思議な力 ―ガイア―　を授け‥
永遠に繰り返される善と悪の戦い‥
そして人間達は善の側に立ち 悪に勝利し続ける‥
そんな物語を人間達に与えた‥
そう僕は全ての人間達に与えたかった‥ 酷く単純で‥力強く‥美しい物語を‥
生きとし生ける全ての人間達が 生きる意味を見失うことなく‥ 永遠に幸福に生きて行けるように‥！
リゼル：
最初から決められた歴史に‥ 何の価値がある！？
世界を創りしもの：
‥安心しろ‥ 僕が創った世界はもうすぐ終わる
お前達はこの世界を否定するのだろう？
けれど予言してあげよう
お前達は古代文明をなぞり‥ あの悲劇を繰り返すだけだと‥
リゼル：
それは‥！
世界を創りしもの：
違うと言いたいのか‥ しかし違うと言うのならば‥
‥ならば‥
　ならばお前たちは 　　どんな世界を創る‥？
リゼル：
‥！
（消滅）
アリス：
‥行っちゃうんだね
ねえ‥ もうすぐ魔獣も消えちゃうんだよね？
魔獣たちがいなくなったら その時あたしどうすればいいのかな‥
‥ごめんね　こんな時なのに あたし自分のことばっかり喋って‥
ルイ 最初会った時から‥ あなたのこと不思議な人だって 思ってた‥
‥ ‥でも‥！ これでお別れじゃないよね‥？
‥！
こんな時なのに‥なんで‥
なんでルイは そんな顔ができるの‥？
な　泣いてなんかないわ‥
リゼル：
どうしても‥行くんだよな？
きみと旅ができたこと　誇りに思うよ
きみは‥　本当に凄い奴だ ‥
‥ごめん 言いたいことが多すぎて‥ うまく言葉が出てこないんだ‥
ルイ：
‥
リゼル：
ルイ‥！
アリス：
ルイ‥！
リゼル＆アリス：
ルイーーー！！
リゼル：
ルイ　お願いだ！ 最後に教えてくれ！
僕たちは―――！
アリス： ‥
行っちゃった
リゼル：
‥ああ‥
アリス：
ねえ　リゼル‥
さっき　ルイに 何を聞こうとしたの？
リゼル：
それは‥
（ゴゴゴゴゴ）
アリス：
な‥なに！？
リゼル：
崩れる‥！？逃げよう　アリス！ きみが先に行け！
リゼル：
アリス‥！？
アリス：
リゼル　足場が‥！
リゼル：
落ちるな！　今助ける！
魔獣：
グゴオオォォ‥！
アリス：
キャアッ！！
リゼル：
アリス‥！
アリス：
もう‥！
(一緒に落ちていく(^O^))


(‥)
(‥ふむ‥‥終わった‥か)
(‥いや違ったな‥ 終わったのではなく‥)
(‥)
(‥いずれにせよ私のこの書に エンドマークが記される時は もうすぐそこのようだ‥)
(彼等には感謝せねばな‥
ありがとう　とても楽しかったよ アリス　リゼル
そして　ルイ‥)


なあ　ルイ‥ 最後に教えてくれ‥
きみなら‥ どんな世界を――


(潮騒(^O^))
リゼル‥
リゼル‥！
リゼル：
‥ここは‥ レガイア‥？
アリス：
良かった‥ やっと気が付いてくれて‥
リゼル：
ああ‥思い出したよ
じゃあボクは守れたんだな‥ キミのこと‥
！
ルイは‥！？
アリス：
それが‥ どこにも見あたらないの‥
リゼル：
じゃああいつ‥本当に‥
アリス：
うんきっと‥
魔獣がどこにもいないの‥ 全部どこかに消えちゃったみたい‥
それにもうガイアも使うことが できないみたいなの‥
リゼル：
そっか‥ じゃあレガイアに残されたのは ボク達普通の人間だけか‥
アリス：
うん‥ ‥
リゼル：
‥
アリス：
‥全部‥終わっちゃったのね‥
リゼル：
‥ ‥‥プッ
アリス：
！？
リゼル：
はははッ！
アリス：
な‥何で笑うのよ！？
リゼル：
だって‥　
寝てたのは僕なのに どうしてアリスが 寝ぼけてるんだ？
アリス：
え？
リゼル：
終わったんじゃないさ‥
　始まりだ！



はるか昔　或いは果てなき未来‥
宇宙のどこかに レガイアと呼ばれる星があった‥

そして移ろいゆくレガイアの歴史‥
古き神の死と‥　新たな神の誕生‥

全ての終わりであり 全ての始まりであるこの物語を 後に人々はこう呼ぶことになる‥

ＬａｓｔＢｉｂｌｅ